「貯金を食いつぶす企画」という考え方

先日、「アプリで続きを見る」という導線しか無いサイトがプチ炎上していたのを見て思ったことがある。
それは「貯金を食いつぶす」という考え方だ。

浅はかな施策だ

この施策はつまるところ「アプリでしか読めないコンテンツを用意することで、アプリのDL数を上げる」ことが目的と思われる。
この施策によっておそらくアプリのDL数は爆増しただろうことは明白だ。
さて、これによって「売上」は伸びただろうか?

答えはマネタイズポイントによるだろう。
たとえばこのアプリが広告による売上のみであれば、伸びただろう。
単純にアプリの起動回数、起動UUが増えればこの手の売上は伸びる。
そういう意味ではこの施策は正しいと言える。
だが、浅はかだ。

マネタイズ手法によっては、ただの悪手

だが、マネタイズポイントが別なら話は変わってくる。
例えばこのアプリがECアプリなら、何かを買ってもらわなければ意味がない。
何かを買いたいと思っていないユーザが別の理由でアプリをDLしたとしても、それは売上にはつながらないハズだ。
というか実際同様の事例を生で見たが、繋がらなかった。

KPI至上主義が産んだクソ目標

自分がみたプロダクトでは、チームが複数に分割されており、それらのチームは別々のKPIを目標として持たされていた。
当然、各々のチームは目標のKPIを当然追う。
他のチームのKPIを気にしなくなる。それが本質的に追わなければならないKPIだとしても。

あるチームが「会員登録数」のKPIを目標設定されたとしよう。
他のチームのKPIもなにも無視して彼らは「会員登録数」を追いかける。
そこで出たアイデアは「会員登録しなければ、情報の一部が見えなくなる」施策だ。
この施策は大当たりする。

クソみたいな目標でも達成されればそれでよい。誰も大局を見ていない組織

会員登録数を数倍に伸ばしたこの施策は大きく社内で評価される。
担当チームのメンバーは大きな発言権を手に入れ、年収を上げる。
だが、組織の利益はおろか、売上すら伸びない。

無理やり登録させた会員は、売上に寄与しなかった。
とにかく人数がいればよいというようなモデルであれば売上も上がったかもしれないが、そうはイカなかったのだ。

崩壊するモラル。バカだけが生き残る

彼らはこれまでプロダクトが育ててきた「信頼」という貯金を食いつぶして自分の評価を上げたのだ。
くだらない錬金術だ。これまでプロダクトを育て上げた人たちの努力を食いつぶしただけだ。

この時起きた問題は重大だった

  • この無駄な施策によって無能が評価されて他のチームのモチベーションが下がった
  • 既存のブランドが大きく毀損された
  • チームのKPIさえ達成すればなんでもよいという文化が生まれた
  • チーム間に溝が生まれた
  • 売上は長期的には下がった

当然だが、こういう組織からは、優秀な人から順に居なくなる。

本質的な目標を設定しよう

その数値は何のためにあるのか?
会員登録数はなんの指標なのか?
しっかり考えるべきだ。
自分たちが欲しい会員は、自分たちの事業に共感し、納得し、このプロダクトを利用したいと考えている会員であって、コンテンツを読みたいだけの会員ではない。 このプロダクトを利用したいと思わせるためには何をすべきかを考えて、施策を打つべきだ。
つまり、追うなら「一度以上購入してくれた会員数」などだ。これをKPIとすべきだ。

単純なこと

僕らはプロダクトを利用するユーザのためになる施策を打ち続ければいい。
「KPIを伸ばすため」という考え方をすてて、ものづくりの本質を考えていけば良い。
余計なことを考える必要はないのだ。